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水平移牧と垂直移牧

遊牧民
遊牧民の絵
狩猟採集からスタートした人類は、次に牧畜を始める。農耕より先に始まった。
牧畜は牧草がないといけないので、牧草のある、ステップ気候などを求めて移動する。これが移牧や遊牧である。
まず移牧というのは1年単位で、冬と夏、季節によって牧畜をする場所が変わること。
そして遊牧は、数年にわたって、家畜と共に緑を求めて移動すること。だから遊牧民は定住地がないのだが、遊牧のコースはある程度決まっているらしく、手紙も届くようだ。しかし今では遊牧民は減り、移牧する人や、定住して放牧(放牧は家畜を放し飼いにすることで、遊牧も移牧も放牧に含まれる)する人も増えている。遊牧はモンゴルが代表的。
遊牧民は移動用テントを使用する。モンゴルではゲル、新疆ウイグル自治区ではパオ(包)、トルコ系民族(トルコ人、カザフ人、キルギス人)では、ユルト(ユルタ)という名前で呼ばれている。
ゲルは組み立てが2時間ほど、片づけるのは1時間ほどで終わるそうだ。

垂直移牧

スイス、オーストリア(オーストリアは特にティロル地方辺り)のアルプス山脈の世界では、垂直移牧が行われている。アルプスの少女ハイジの世界である。アルプスの垂直移牧では、春から初夏にかけて乳牛はアルプスに登り、夏には、牧草がある高山放牧地で過ごし、冬になる前にふもとの家畜小屋に戻り、冬はそこで過ごすのだ。このように、夏はアルプで過ごし、冬はふもとの小屋で過ごすという標高差がある移牧だから、この移牧の形態を、垂直移牧という。
ちなみに牛たちが夏に過ごす高山放牧地のことをアルプ(Alp)といい、複数形となってAlps、これが「アルプス」山脈の由来となった。
酪農家たちは、シャレと呼ばれる作業小屋(チーズ小屋)で、バターやチーズを作る。そして、冬の間の家畜の食べ物を確保するため、人々は夏の間に牧草を刈る。
ヒマラヤでもアルプスほど規模は大きくないが、垂直移牧があるらしい。

水平移牧

垂直移牧に対して、主に地中海沿岸などで行われる移牧を、水平移牧という。名前の通り、標高差がない移牧。垂直移牧の対象がなのに対し、水平移牧の対象となるのは主に
地中海性気候は、夏は乾燥帯気候になるから高温乾燥で、牧草がほとんどない。だから緑を求めて旅をする。都市の真ん中であろうと羊は歩いていくらしい。そして、冬は温暖湿潤気候になるから緑(牧草)が増える。地中海沿岸の水平移牧では、冬に牧草を育てて、移牧を行う。
そうそう、地中海沿岸と言えば小麦の栽培も有名。移牧とともに小麦栽培をする人も多いそうだ。で、小麦は2つ種類がある。カナダなど高緯度地域に生育するのが、春小麦。春に種をまいて秋に収穫する。それに対して、秋に種をまいて春収穫するのが冬小麦。地中海沿岸は冬小麦。冬は温暖湿潤で、高温乾燥の夏より生育しやすいから。
ちなみに日本の小麦は秋から春に育てられ、つまり冬小麦であった。なお日本は古くから二毛作が行われ、表作が稲、裏作が小麦であった。鎌倉時代は二毛作。米と麦。米は春から秋、麦は秋から春に育った。昔、農家の子供の冬の大事な仕事が、麦踏みだった。麦を踏んで強くする。

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